DQ10 まめぞぅのエリンギ便り

おもちハザード 〜プロローグⅠ〜

   

『チリンチリーン』

 

ドラキーの形をした目覚まし時計が起きる時間がきたことを告げる。

 

icon-mamena「やばい、全然寝れなかった。」

 

昔からそうだ。遠足、運動会……何かイベントがある前日の夜はなかなか寝付けないのだった。

 

icon-mamena「もう子供じゃないのにな。」

 

これから仕事であるにもかかわらず寝不足になってしまった後悔と、昔から少しも変わっていない自分が可笑しく感じ、思わず苦笑いを浮かべてしまう。

 

ナース集会

私の働く病院はセレドにある、たれぱん大学附属病院の分院だ。

今年、病院のナース服のデザインが新しくなった。それが内外から高い評価を得たことを記念して、集会を開くこととなった。それが今夜なのだ。

ナース服に身を包んだかわいいナース達が一堂に会するのだから、楽しみすぎて眠れなくなるのも当然というわけ。

ところで、「たれぱん大学」って何?という方もいるだろう。簡単に言うとツイッターのDMグループから派生した成り行きの名前である。あくまでフィクション。気にしてはいけないのだ。

 

icon-mamena「なんか変な声が聞こえた気がするけど……。まぁいいや、早く病院に行かないと遅刻しちゃう。」

 

そう、気にしてはいけない。

 

平和な日々

出勤すると、ナースステーションで夜勤明けのモニカがお絵かきをしていた。

 

icon-mamena「モニ、おはよう。絵、書いてるの?」

icon-monika「うん。暇なんだもん。」

 

この病院、患者さんの容体が急変したり、急患が来ない限りは暇なのだ。なぜなら……。

 

icon-mamena「患者さん、いないもんね。」

 

患者が一人もいないのだ。

入院患者がいないとはいえ、急患が来るかもしれないのだから油断できないはずなんだけど、不思議なことにこの町は病気になる人もいない。

ここは魔法があったり、あっという間にキズが治ってしまう道具があったりと医者いらずの特殊な世界だったりする。そうかと思えば、魔法や道具が及ばず死んでいく人もいる。まるで神の意思により都合よく操られているみたいだ。

特にこの町は不思議なところで、住人が子供しかいない。子供に魔法や道具が使いこなせるとは思えないが……。きっと他の何かがあるのだろう。

医学に携わる者としては納得のいかない世界ではあるが、ナース服を着て楽しめる環境には感謝している。

 

icon-monika「じゃあ夜にね。」

 

何も引き継ぐことがない形だけの申し送りを済ませると、モニカは集会で会おうと言い残し帰っていった。

 

謎のみかん

この日の話題はナース集会のことで持ちきりだった。

 

icon-michiku「いよいよ今日だね。」

icon-nabe「患者さん……来ないといいけど。残業だけは勘弁だよ。」

icon-mamena「来ない来ない。いつも通り平和に終わるよ。」

 

言葉の力とは不思議なもので、余計な事を言うとなぜかその通りになったりするものだ。

 

icon-monika「大変っ!」

 

声のする方を振り向くと、帰ったはずのモニカが血相を変えて戻ってきた。

 

icon-monika「玄関の前に大きなみかんが落ちているよっ!」

icon-mamena「?」

 

夜勤明けだから寝落ちして、夢でも見たんじゃないのか。誰一人モニカちゃんの言葉を信じなかった。

 

icon-monika「早く早くっ!」

 

あまりに慌てているので、全員で見にいく事にした。

 

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icon-mamena「……みかんだ。」

 

そこにはモニカちゃんが言った通り、大きなみかんが落ちていた。