DQ10 まめぞぅのエリンギ便り

笑顔を見たくて

   

前略

 

私には気になる子がいる。

 

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初めてその子を見たときの表情は忘れられない。かわいい顔立ちではあるのだけれど、その表情は暗く沈み、何か思い詰めたような感じがした。

子供なら、少しくらい辛いことがあっても、時間が経てば明るさを取り戻すんじゃないか。そう思ってしばらく様子を見るものの、表情は暗いままだった。

この子が笑ったら、どんなに素敵だろう。彼女の笑う姿を考えながら、笑顔を取り戻そうと心に決めた。

そうと決まれば、なぜ彼女があのような表情を見せるのか、その原因を探ることにした。

 

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たまたま彼女の母親が冒険者と会話しているところを聞くことが出来た。

そっか、お姉ちゃんが亡くなってしまったんだね。

ん?リゼロッタ??

そういえば、私のいる世界にそんな名前の子がいたような……。

 

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そうそう、この子。

……よく似ている。なんで気がつかなかったんだろう。

リゼロッタはもうあの子と会うことは出来ないし……、そうだ、私がリゼロッタの姿になってあの子に会えばきっと笑ってくれる。

 

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ど……どうかな?

なんか、全然似てない気もするけど、まぁいいか。「まめな」って名前だから「まめロッタ」だね。

これであの子に会いに行くのはいいんだけど、一つ問題があるんだよね。

実は私は(性別的に)偽りの存在だから、真実の世界では見えていないのか気付いてくれないんだ。幽霊みたいなものだね。

でも大丈夫。

 

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サダクっていう、ちょっと怪しい人に教えて貰ったんだ。希望の丘に真実の世界でも具現化できる「うつしみ草」があるって。それを使えばあの子に会うことができるんだよ。

 

……ない。ないっ!

騙された……。サダクのやつ、胡散臭いとは思っていたけどその通りだった。あの子の為だと、疑わなかった私がバカだった。

 

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夢中で探していて気付かなかったけれども、たくさんの冒険者に囲まれていた。なぜだろう、まるでこの場所に私がいるのを知っているような、そんな感じ。不思議な人たちだ。

不思議と言えば、あの子に似た真実の世界の匂いがする。ひょっとしたら、この人たちは真実の世界に行けるのかもしれないっ!

そういえば、魔女の森の館にあるツボには真実の世界から偽りの世界を召喚できる魔法があると聞いたことがある。もう、これが最後のチャンスかもしれない。

 

ねぇ、私のお願い……聞いてくれないかな?

恐る恐る聞いてみると、冒険者達は笑顔でこういった。お安いご用だよ。

 

魔法の力を手にした冒険者達は、あの子の部屋で待つ私の元に続々集まってきた。これほどの力があれば、きっとあの子に気付いて貰える。気付いて貰えればきっと……。

 

(まめロッタはうつしみの魔法を唱えた)

 

(しかし不思議な力でかきけされた)

 

そんな……。

真実の世界では偽りの存在はどうあっても否定されるものなのか。

 

うっ……。

 

意識が遠のく。

意識すら……許されないというのか……。

 

「りっきあぁぁぁっ!!」

そう叫んだかどうかも覚えていない。そんな時間すら許されないまま、闇にのまれていった。

 

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あの子はこう言った。ろくな所ではない……と。

 

でもね。

 

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こんなに沢山の人たちが、あなたの笑顔を取り戻そうとして頑張ってくれた。それは紛れもない事実だよ。

本当に……、本当にありがとう。

 

気のせいかもしれないけど、彼女の背中が少し震えて見えた。

それは悲しみなのか……、それとも……。

偽りの存在である私には確かめる術は無かった。

 

草々